【紛争ダイヤモンドとキンバリープロセス】
キンバリープロセスという言葉をご存知でしょうか?
キンバリープロセス認証制度とは、「紛争ダイヤモンド」を流通させない制度です。
2021年8月時点で54の国と地域が加盟しています。
キンバリープロセスが生まれた不幸なきっかけ
アフリカで1980〜90年代、アフリカの多くの地域で内戦状態が続いていました。
悪化させた原因の一つにダイヤモンドを含む資源が関わっていたとされています。資源を売ったお金は武器へと形をかえました。
その過程で子供が誘拐され、兵士になることを強要されたり、なんの罪もない人々が肉体的にも精神的にも傷つくことになりました。
そういった問題を踏まえ、ダイヤモンド業界でキンバリープロセス認証制度が2002年に採択されました。(南アフリカのキンバリーという町で立ち上げようと集会したことでキンバリープロセスという名前になりました)
キンバリープロセスとはダイヤモンド原石を輸出する際に、これは紛争ダイヤモンドではないということを証明をつけて輸出する取り組みです。
ただ、これによってダイヤモンドによる紛争の問題が解決するというわけではなく、多くの問題を依然抱えています。
欧米ではまだ問題を抱えている制度であることを多くの人に知られてきているのですが、日本ではまだキンバリー・プロセスの欠陥を知っている人はほとんどいません。
欠陥1:紛争ダイヤモンドという定義
紛争の資金源以外にも、労働者の問題が残っています。児童労働や強制労働、債務労働などです。あとは環境に配慮されているかどうかなどの問題もありますが、キンバリープロセスでは紛争の資金源の問題を解決するための制度でほかの問題に対して関与していません。
そして、紛争ダイヤモンドの定義も非常に問題となります。反政府軍の資金源になっているときに紛争ダイヤモンドとして問題になるという認識です。
政府軍の資金源になっている場合は問題にならないという制度です。
代表的な問題としては、ムガベ大統領が独裁するジンバブエではジンバブエ軍がダイヤモンド鉱山の労働者を虐殺し、鉱山の支配権を奪い取りました。ほかの鉱山も含めてダイヤモンドを強引に国有化したのですが、こういったダイヤモンドは残念ながら、キンバリープロセスのもとでは問題ないと定義されてしまいます。
ヒューマンライツウォッチなどの人権団体がキンバリープロセス認証制度のメンバー資格を一時停止を呼びかけたものの実行的な解決策は見られません。
もし、アフリカで反政府軍が政権を奪取することになれば、今まで、キンバリープロセス認証制度によってダイヤモンドを問題なく、流通させることができます。
欠陥2,キンバリープロセス認証制度の定義はダイヤモンド原石のみ
紛争による問題は、原石に限定されるわけではありませんが、キンバリープロセス認証制度はダイヤモンド原石のみの採掘、流通のみが対象になります。
ダイヤモンドの研磨の有名な場所はベルギー、インド、そして、イスラエルです。
イスラエルは2015年での全輸出額のなかで、23.6%を占めるものが研磨済みダイヤモンド、未研磨のダイヤモンドも3.9%が含まれています。
イスラエルとパレスチナは紛争状態がずっと続いていますが、ダイヤモンドの収益が税金と代わり、税金の中から軍事費へと変貌します。
欠陥3:キンバリープロセスの構造の問題
キンバリープロセスは加盟国が自主的に運用しています。強制力が弱く、違反したとしても、輸出を制限されることもありません。
54の国と地域が加盟していますが、議長の任期が1年で非常に短く、改革を起こすには非常に期間が短く、問題点を改善するのは難しい。
アフリカでは紛争状態の国、反政府軍が所有されるダイヤモンドが密輸により、ほかの国より出荷されるケースも見られます。